最近、内部生向けに文章を書きましたので、ブログに掲載します。
教育力の実践 「合格の方程式」
学科の学習を深め身につけていくのと並行して、学科を学習する主体である生徒自身の人間性の鍛錬にも目を向ける必要があります。何を学び何を身につけていくかという、スキル向上の学習の背景・ベースに自らの人間性・人間力も育てていく必要があります。入試は一過性のものではなく、入試後も生徒の学習は続いていくからです。そのため、入試に受かりさえすれば良しとする刹那的な対応は学習のベースである生活そのものの荒廃を今後生み出す要因の一つになる可能性は十分に考えられるところです。
実際に生徒の学力向上を目指すならば、それにふさわしい学習ラインを踏んでいく必要があります。目標値が高ければそこへ至るには何をどの順序で進んでいけばいいのか?生徒本人にとってのマックスを目指すのであれば、70点でも100点でも価値の優劣は存在せず、そのための努力の価値も色あせることはないはずです。しかし、現実に100点満点で70点を目指す場合と100点を目指す場合の学習内容は異なります。その違いには授業中個々に対応します。生徒がすることなく待機している時間は与えません。
また、授業内でも学習内容は基本と応用を併用した演習問題に取組むことでレベル差による授業の停滞は解消されます。一部共通に解答解説する箇所があれば十分です。また、人数も少人数だから可能になります。私たちは長年、70点でも100点でも同じ教室で一人ひとりの生徒が目指す学習にふさわしい環境を創り出してきました。
学習進度を受験生に絞ると、冬期講習前で80%達成し、冬期講習で+10%、最後の10%は現実の合否に係わる数値になります。最後の伸びしろは入試前に達成するよりも入試日当日に自己ベストを設定します。そう持って行ければほぼ問題なし、というのが私の経験則です。 あまり前に100%に達成すると当日まで気持ちを切らさずにいることが難しく、もし一度その気持ちを緩めてしまったらもう一度締めなおすことは不可能に近いこともあるからです。
また、學志館の生徒は昔からどういうわけか自分の内申よりも高いところをチャレンジする傾向が強くありました。「どうして、こういつも、うちの塾の生徒たちは自分の内申より高いところを受験するんだろう〜」と毎年ハラハラドキドキして(最近はないですが、円形脱毛症に2回なりました><)受験の時期を迎えていました。しかし、高校受験・大学受験はたいていの生徒が合格。公立高校受験では100%合格が数年続いたこともありました。
そして、最後に入試合格の方程式。これも経験則によるものです。學志館で生徒たちに20年間関わり、最後まで見て、気がついてきた「合格の方程式」です。
確かに存在する、合格する生徒たちに共通する心の在り方です。
1. 生徒が1ヵ月前程からなりふり構わぬほど必死に勉強に向う。これは気持ちが全面に出ているケースです。
当り前と言うかも知れませんが結構当たり前ではありません。1ヵ月前にプレッシャーから勉強に手が付かない生徒もよくいます。時間をかけて机に向っている割に勉強が進んでいなかったり、身についていなかったり。
2. 気持ちが素直になっている。アドバイスや注意を素直に聞く耳を持っている。
生徒に授業時や授業以外に勉強内容のポイントを絞って説明ができます。また、最後の1ヵ月間の勉強の仕方についてアドバイスがし易い関係ができています。
ところが、気持ちがパニックになっている場合、聞く耳を持っていませんし、忠告やアドバイスも言いにくい状態です。それでもあえて言うためには、正面からぶつかる覚悟でかからないと話にもなりません。
3. 生徒本人の意志がぶれていない。周りがうるさくない。
本人にそこへ行きたいという(合格したいという)気持ちが確固としてあること。自分の内側からの動機。つまり、誰かに勧められてとか、なんとなくという気持ちからではなく、自分の本心からの動機になっている。また、高校受験や大学受験は親の係わる割合は中学受験に比べれば断然希薄になりますが、口うるさく注意することはケースバイケースで事の是非は問いませんが、親御さんが緊張しすぎるとそれは子どもに伝播し、子どもが更に緊張しすぎてしまう要因になることもありますから、信じて待つ覚悟も必要です。胃が痛くなることもあるかも知れませんが、親子で一緒に試練に立ち向う経験は貴重なことです。その中で普段は口数が少なくなってきた親子の場合、対話が進む良い機会になるかも知れません。
最後の模試(高校入試では1月上旬)の結果が第1志望校は難しく、日曜特訓2回目ほどで更に難しいという結果が出ていた場合は、志望校の変更を勧めます。(最終変更は志望校別受検者数が新聞発表された後になります。)
それでも受験したいという場合は止めはしませんが現実かなり難しい旨は本人・親御さん共に伝えます。明らかに数値的に無理なことが分っている時、「合格の方程式」には当てはまりません。
入試は最後の10%が勝負だと思っています。その10%とは、生徒が合格する為に身に付けておかなくてはならない学習。その学習結果としての模試(日曜特訓のテスト)や入試の生徒本人の合格安全圏までの残り点数。100点満点が必要なら残りの10点。70点が必要なら7点。(内申から生徒自身の志望校ごとの入試目標点は計算で算出できます。)こういう場面に生徒が置かれているとき、先に述べた「合格の方程式」に基づいて見ると、生徒の入試得点と生徒の心身の状態はリンクします。そのため、生徒に方程式の3つの条件に近づくように私たちが見守る必要があり、機会があればそちらに仕向けていきます。そうなってくると結果は後から自然についてきます。
以前ある中3の生徒に入試の1週間ほど前「調子はどうだ?」と尋ねると「(入試本番が)楽しみだ!」と答えてきました。志望校の内申基準より10ポイント以上足りなかったのを、実力をつけ見事に合格しました。私はまだ、そのときの彼の名セリフ!が忘れられません。
この方程式は大抵、通常では難しいのでないかと言われてきた生徒たちのケースに基づいているため、それよりも条件が良い場合は(内申にも余裕があり、模試も合格圏内)前述した集中力を切らさない努力が必要になります。
入試に限定する方が分りやすいためにこういう話題にしました。生徒の学習姿勢に関しては受験学年ではない生徒にも同じ事が当てはまります。つまり、「入試の方程式」ならぬ「学習成果のための方程式」があります。「入試の方程式」の言葉とケースを多少変えればほぼ同じと思っています。受験までまだ、時間があると思っている生徒にも学習は習慣力がベースになっているため、その「方程式」を身に付けてもらうために全力を尽さなければならないと思っています。そういう積みかさねの結果として、「入試の方程式」を生徒たちが実践できれば、それこそがまさに、本年度の學志館の教育テーマ「教育力の実践」です。學志館に通う生徒全員が「入試の方程式」を「実践」できるように努力し続けていきたいと思っています。
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